ちょうど一年程前、全国に緊急事態宣言が拡大され、ここ遠州でも、すべての分野・業種でさまざまな影響がありました。誰もが、これまで経験したことのないきびしい状況のなか、それでも希望や夢・未来を信じて頑張っている人たち。私たちは、そんな現状に立ち向かっている人たちに注目して、どんな状況でも負けない元気をみんなで共有するために、その思いと希望を語ってもらおうと考えました。今もまだ続くコロナ禍ですが、希望や夢・未来を信じ、諦めない気持ちは持続しています。
(この記事は2020年4月に「Eメジャーで行こう!」サイトで公開したものです)

第一回の「E メジャーで行こう!」は、県西部最大のキャパを誇る「LiveHouse浜松窓枠」代表の上嶋さんに話をうかがいました。
コロナウィルス感染拡大が問題になった早い段階で、名指しで「危険な場所」にされてしまったライブハウス。そのライブハウスは、今どんな状況におかれているのか?現状への率直な思いと、それに打ち勝つためにどんな希望をもって取り組んでいるか。見つめる先の遠州の未来像についてなどを語ってもらいました。

「LiveHouse浜松窓枠」代表 上嶋潤さん

ライブハウスなのにライブができない今

浜松市内のライブハウスでも3月に入った頃から自粛のムードが広がり「LiveHouse浜松窓枠(以下、「窓枠」)」も、4月はライブ・イベントとも「0」という状況です。現時点ではまだ先が見えないので、5月6月もどうなるかなあという感じです。「窓枠」は2004年に父が始めて、2010年に今の場所に移転。オープンからずっとほぼ同じスタッフで16年、素人が手探り・手作りで始めたライブハウスですが、こんなに長い間ライブができないのは初めて。ライブができないと現金収入がゼロの状態で、状況は正直苦しいです。それでも、以前から行っていたTシャツなどのグッズ販売や、自粛後のスケジュールを考えたり、2階で母が切り盛りする「カフェAOZORA」がお弁当の予約販売をしているので、完全休業しているわけではありませんが、ここしばらくはステージもスタジオも使われていません。でもまあ、ジタバタしてもしょうがないですし、今はなるべく先のことや、今できる楽しいことを考えています。政府からの支援策も気にはなりますが、文句を言ってどうこうできる話でもありませんし、もっとリアルなことに注力したいです。

出入口の壁にはこれまで出演したミュージシャンのサインやメッセージがびっしり。
音楽への情熱が感じられる空間だ。

地元のライブハウスをもっと使ってほしい

遠州地域の音楽活動はけっこうバラバラなイメージがします。それぞれが思い思いの楽しみ方をしていますが、みんなでわーっと盛り上がるような感じはないですね。楽器メーカーがたくさんある街ですから、楽器を弾く人は多いですが。例えば居酒屋に集まっている人たちでもバンドを組もうと思えばすぐに組めてしまったり(笑)。でも大学生なんかは学校内の学園祭とかで完結してしまって、街中でライブをする機会が減っていると思います。そんな学生たちがもっと気軽にライブを楽しめる状況を作りたいと思い、できるだけ彼らに負担が少ない形でのイベントをちょっとずつ仕掛けていきたいと思っています。