浜松の老舗百貨店「松菱」突然の閉店
1937年開店した遠州地方初の百貨店「松菱」は、1945年の浜松空襲で焼け野原になった浜松市街地の中でも姿を留め、浜松復興のシンボルとなり、その後わずか4年後には全館営業を再開しました。浜松市民にとっては街中の中心的な百貨店だったのですが、なんと2001年に閉店。経営破綻との理由でしたが、あまりに突然の出来事に浜松中に衝撃が走りました。再開発の話が浮かんでは消え、市街の一等地でありながら、松菱跡地は2021年現在も更地のままです。
忘れられない松菱屋上で食べたアイスの味
一昔前、多くのデパートがそうであったように、松菱の屋上も回るコーヒーカップやゲームコーナーがあったりと、ちょっとした遊園地のような場所でした。そこで売られていたアイスは、よそでは味わえない独特の美味しさでした。昭和初期のアイスクリンと呼ばれていた冷菓に近いのではないかと思うのですが、白というより卵の黄身の色なのか少し黄色が強いクリーム色。ヘラですくってコーンの上に丸く重ねられたアイスは少しシャリっとした食感と、バニラの香りのすっきりした後味で、街中へ買い物に出かけた際は必ず親にねだったものでした。時々無性に懐かしくなり、似たようなアイスを見つけては食べて見るものの、どこか違う。
やはり松菱閉店後はもう食べられない幻のアイスになってしまったんだ・・・。
そんなふうにあきらめていたのですが・・・。
さて、ここで実は検証してみたいことがあります
数年前、私が大阪に出張した際に、打ち合わせの後コーヒーでも飲もうと一人でたまたま入った喫茶店での出来事。こじんまりした店構えですが、老舗といった雰囲気。入ってすぐに壁のアイスのメニューが目に入り、お土産はもちろん店内でも食べられると聞いて、ホットコーヒーとバニラのアイスをオーダーしました。後で聞くと大阪では結構有名なお店らしく、大正時代に創業され、昭和の初めにアイスクリンの製造販売を開始したとのこと。米粉で作られたの最中に包まれたアイスを一口食べてびっくり。
「松菱のアイスの味じゃん・・・」
その時は確かにそう思ったのですが、誰かに共感を求めたくてもその術もなく、いつかもう一度確かめようと思っていたのです。
この遠州食文化補完計画という企画を思いついた時に、真っ先にそれを思い浮かべ、ネットを検索したところ、そのアイス、なんと通販で買えることが判明。
そこで「松菱のアイスの味を覚えている」という有志を募り、味の確認を行いたいと思っています。が、しかし、集会的なことは今は開催するのは難しいので、その辺りも相談しながら一緒に検証してくださる方、contact@zatta.jp までご連絡ください。