第4話では元魚町の路地をウロウロ。
千年以上昔から続く神社、面白いモノヅクリのデザイン事務所、そして本題の気になる黄色い店『たじま』でご飯を食べてきました。
第5話ではたじまを出て伝馬町に向かっていきます。
次の気になる黄色いお店はどこでしょうか。それでは始まり始まり〜♪

浜松市伝馬町はZAZAシティの伝馬町交差点にまたがる町。
大手通りを軸に、南は前回でも特集した松尾小路から北は五社前通りまで、南北に伸びた不思議な区分けをされた町です。
伝馬町という地名は日本の各地にあり、幕府要人の旅や物資などの運送を取り仕切る伝馬役の住居があったことを町名の由来に持つと言われています。
浜松市中心部の大きな交差点にある伝馬町。昔から交通に大事な拠点だったのかもしれません。

たじまを後にして北に向かって歩いていくと、巴湯という銭湯あります。
近年新しく出来たスーパー銭湯を除き、昔ながらの町の銭湯は浜松ではこちらの巴湯と曳馬駅近くにあるみよし湯のみになってしまったそうです。
今回の散歩では巴湯も寄るつもりだったので、銭湯グッズ(タオル・バスタオル・シャンプー・石鹸)は既に用意済みでした。もしかしたら貸し出しもあるかもですが、行かれる方は持参するのが手堅いと思います。

まだ開店前というのに、一番風呂を狙っているのかおじいちゃんが1人、扉が開くのを既に待ち構えています。
16時キッチリに開店。入り口に暖簾がかかります。美人の女将さんが「いらっしゃい」とニコニコ声をかけてくれました。

「今なら人がいないから撮影してもいいよ」と許可を得て湯船の写真を撮るも、次から次へとお客さんが来店されてスッポンポンのおじいちゃん達が次から次へとお風呂に入られてくるので中の写真はこれだけ。
ケロリンの風呂桶。昔ながらの扇風機。昭和の香りのする体重計。
これはぜひ皆さんの目で見にきてください。

お客さんは皆さん常連さんばかり。

  • 入ってくるなり「いやぁ〜、ウチの犬が喉をつまらせてよ。」とか言いながら、番台にお金を置きつつ既に服を脱ぎかけているおじいちゃん。
  • 「アンタ、最近見かけなかったね。入院でもしてたか? カッカッカ…ゲ…ゲホ。ガ…ゴホン。カーー!!」悪態をついた上で、自分が入院してしまいそうなおっちゃん。
  • 「オリンピックはやるのかねぇ〜。オレっちには関係ないけど。やるのかねぇ〜。」お風呂に入る気配がまったくなく、女将さんに話しかけるおじいちゃん。(さては、女将さんに気があるな…)

生活のサイクルにある入浴というだけでなく、そこが社交場として機能していることも実感し、人生の先輩方の威勢の良い会話をBGMにお風呂に入ります。

シャワーは無し。
水とお湯の栓があるので良い感じの温度に調整して身体を洗います。
開店したばかりだからかお湯の栓から出るのが冷水で、最初は湯船のお湯をすくって身体を洗っていましたが、すぐにアッチンチンのお湯が出てきたのでビックリしました。

身体を清めたら湯船にイン。
お湯が熱くて最初は我慢していましたが、そのうち気持ちよくなり天国へ…。
視線を上にすると天井が高く「ぼ〜」としているだけで、天に昇っていく気持ちになります。
…ぐぅ…至福……。
ポカポカになった身体と心で銭湯を後にします。

お風呂に入ると「一日が終わったなぁ〜」って気になっちゃいますね。
どうしましょう。このまま帰りたい気もしてきます。
ビールでも買って、枝豆でも茹でて「くぁ〜、ウメ〜」と晩酌。いいですねぇ…。

かえっちゃいましょか。ないしょで…。ね、ねっ!!

……
………
とか考えていたら、zattä編集部の鬼編集長の顔が頭に浮かんできたので、散歩を再開しようとおもいます。

巴湯から東方面で少し歩くと、黄色い店が現れました。
時が止まったような外観、レトロなレタリング、入り口には演歌のポスターがいっぱいっ!!
浜松の主要道路の1つ、ZAZAシティーのある国道257号沿いにあるので、気になっている人も多いのではないでしょうか。
ブラヒロシ認定、浜松で気になる3大黄色い店の2つめ。

杉浦レコード商会 です。

演歌は紅白歌合戦で歌われるような天城越えのような超メジャーな曲しか知らないので、少し入るのが躊躇われるのですが、ええぃっ!!入ってみましょう。
入るのに躊躇してたのが全く意味がないほど、優しい声で「あら、いらっしゃいませ。」と品のいいお母さんがニコニコと迎えてくれました。

小さな店内には演歌や民謡のレコードのほか、CDやカセットなども置いてあります。
「昔は若い子の欲しいレコードも置いてあったんだけどねぇ。ごめんねぇ〜。」
最近は新しい商品を入荷することはなく、在庫のみを販売されているそうです。

演歌の知識がないので、ジャケ買いをすることにしました。
今のアーティストのジャケットと違い、演歌のジャケットは歌手の顔がバーンと出ていていいですね。顔からピンと来たレコードを手にします。
ブラヒロシライターのヒロシは熟れたお姉様が大好きなので、とびきり妖艶なフェロモンの出ているレコード(ドーナツ盤というシングルレコード)と、三波春夫さんのレコード(SP盤といわれる蓄音機で再生できるレコード)をゲットしました。

「これ、最後の1枚。せっかくだからこの袋に入れておくね」とレコードを梱包してくれたのはEPIC/SONYの文字が書かれた紙の袋。
現在のEPIC Records Japanとは違う見た事のないロゴマークです。
どんなにググっても情報が出てこないので、音楽評論家の小川真一さんにお伺いしたところ1978年から1988年の間に使われていたロゴだという事を教えていただきました。この紙の袋は78年レーベル創立当時のものと思われるそうです。
今から40年以上前に作られた袋。とても貴重な袋ですね。大事にします。

「昔は蓄音機の修理もしてたのよ。私が嫁いだ頃にはここに作業場があって…」って、そういえばこのお店っていつごろから続いているんですか?
な、な、なんと。大正の時代から続いているお店なんですってよっ!!
壁には昭和10年に撮影された、当時の写真が飾られていました。
写真中央にあるのが杉浦レコード商会。手前の道が光って見えるのは当時の国道257号が初めてアスファルト舗装された時らしく、舗装により光って見えるそうです。

大正→昭和→平成→令和と、浜松の音楽文化の一端を担っていた杉浦レコード商会。
残念ながら、今や演歌が売れる時代でもなく「ゆくゆくはこのレコードは全て処分しなきゃいけないのよね〜」と寂しげに仰られていました。

時代にはあらがえない。
でも、今あるものは大事にしていきたい。
もし「杉浦レコード商会、気になるんだよなぁ〜」って人がいたら、顔を出してみることをオススメします。
キッカケはなんでも、興味本位で覗いてみてお母さんとお話をする。偶然手にしたレコードを買って聞いてみる。
面白い発見があるかもしれません。

はい、ここで万歩計の計測です。ジャン!! 3248歩。
お風呂の熱とフェロモンレコードも手伝って、すでに脇汗ムンムンです。
歩く小籠包のようになっています。
はい、あともうひとふんばりっ!!

レコードを購入したのはいいものの、プレイヤーを持っていないので、徒歩5分程の場所にある鴨江アートセンターに寄ることにしました。
こちらのロビーにレコードプレイヤーがあり、無料で使うことができます。

南原圭子さんのさすらい艶歌はしっとりとした低音ボイスの演歌。
神戸一郎さんと萩原冴子さんのゆ・れ・て浜松は、デュエット曲ならではの夜景が似合うような曲でした。
個人的にはゆ・れ・て浜松が好きですね。歌詞に浜松の町名が出てくるのもポイントが高いです。

それでは少しだけ聴いてみましょう。(音が悪く申し訳ありません。鴨江アートセンターのスピーカーは良いのですが、僕の録音が上手にできていませんでした。失敬。)

まずはさすらい艶歌から

次にゆ・れ・て浜松

三波春夫さんのレコードは蓄音機用なので回転数も合わず、残念ながらこちらでは再生できませんでした。また何かの機会に聴いてみたいと思います。

さて、これで元魚町、伝馬町のブラヒロシはやっと終了。
読んでいただいた皆さんも、どっぷり疲れたとおもいます。
お付き合いいただき、ありがとうございました。

最後に万歩計の確認を。ババーーン!!
4559歩っ!! はぁ〜、くたびれた。このあと駐車場まで歩いて帰るのやだ〜。タクシー乗りたい…。(デブの発想)

さて、グズるヒロシは置いといて…。

小さなエリアではありましたが、いろいろな発見のある町でした。
このコラムではお伝えしきれなかった、歴史がありそうで電話で確認したら歴史がなかったモノや、いい顔をした建物など。
たくさんの表情を持った町です。
ぜひ、みなさん。近くにお寄りの際にはブラブラと散歩してみてください。
ここに書かれていることいがいに、いっぱい発見があると思いますよ。

やっと伝馬町編が終わりましたが…ここで、もう少しだけお付き合いください。
3つめの浜松3大気になる黄色い店の紹介があります。

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