「車がないと生活できない」とも言われる遠州地区。
コロナ禍の時代にあっては、車通りが少なく駐車場がない小さな通りは、いつのまにか気になっていたお店がなくなっていたりして、「ここって何があったかなぁ〜」なんて寂しい思いをしたことが多くあります。
いつもと変わらずそこにあると思っていた町は、いつまでもあるわけではありません。
今こそ、小さな小さな町の呼吸に気づき、発見してみませんか?

ブラっと散歩をするのは、zattäライターのタテイシヒロシ。
ヒロシがブラリでブラヒロシ。
相棒に万歩計を腰にくっつけ…。はい、運動不足が祟っているのでブラリのついでにダイエットと一石二鳥企画です。
Walking in the Rhythm. 一緒に歩いているイメージでブラブラと。それでは歩いていきましょう

旅の相棒はタニタの万歩計。
僕は形から入るタイプなので、万歩計を買っただけで5kg程減っちゃった気分になっていましたが…。
ヘラヘラしながら妻にそんなことを話したら、タイヘン怒られました…。
太っていると着れる服が限定され、それだけで家計の圧迫をする…。おっしゃる通りです。

浜松城公園。浜松の人なら誰もが知っている癒しの場。
犬を連れて散歩する人、鳥たちの声。生き物がいっぱいです。

そういえばずいぶん昔。ここに動物園があったってご存知ですか?
ペンギンのプールとか、象のハマコとか、芸が得意なチンパンジーとか。
ケーブルカーも走っていたそうなんですって。…想像がつかない。なんだか昔が未来で今は過去に遡ったみたいな、猿の惑星のエンディングのような妄想に浸ります…。

かわいらしいリスちゃん達はだいぶ少なくなったようですね。
浜松城に生息するリスはタイワンリスという種類で外来種です。リスに餌付けする人もいたりとマスコット的な人気だったのですが、公園内の木を食い荒らすなど生態系が変わってしまうため駆除をしています。
ペットのリスを野に放ったとか、当時この場所にあった動物園から逃げ出したとか諸説あるみたいですが。いずれにしても人の都合で多くなってしまったリスたち。
ちょっとかわいそうですね。

話を元にもどしましょう。
天守閣の方に向かって歩いて行くと浜松市美術館。
散歩した日は名硯、名仏展という館蔵品展をやっていました。
その次は遠州の民藝品展、さらにその次は藤井フミヤ展ですってよ。
ん〜、それらの企画展が悪いとは言わないものの、芸能人だよりの企画展や、限られた層に焦点をあてたような美術館ってなぁ〜。
ポスターが渋すぎるのかなぁ〜。あまり開かれたイメージが無いんですよね〜。

おっと、個人的なグチはおいといて…さらにその先を歩いて行くと…。
スンッと静かな長屋のある路地に入っていきます。
まずはこのあたりを散策してみましょう。

それほど長いわけでもなく、細い人通りの少ない通りなのに、個性的なお店が並んでいます。
日曜日しか営業してない発酵カフェという怪しげなお店を発見。…残念。今日はお休みです。

レトロな外観の喫茶店とか、ハーバリウムのアトリエとかカメラスタジオとか…。
なんだか個性的な店がひしめき合ってるっ!!

フンフンと興奮したテンションで、入り口が開いている雑貨屋さんにお邪魔してみることにしました。
「おじゃましまーすっ…」

「デデン!」

「わっ!!」 何ともポケ〜っとした顔の大きな魚が登場!!

この魚のオブジェ。
鴨江にある渥美ゴザ屋さんの先代、今は亡き渥美圭亮さんの作品だそうです。
渥美圭亮さんの作品は、パリの美術館で行われたアール・ブリュットの展覧会『アール・ブリュット ジャポネⅡ』でも取り上げられるほど。
そうそうっ!! こういうのッスよ。こういう作品展を浜松市美術館でやりましょうよっ!!
「浜松市美術館の担当者の方〜、どうでしょうか〜!!」

おっと。
脱線しました。話をもどしましょう!
小さなお店のなかにはアチコチに個性的な雑貨やアクセサリーが置かれています。
どれもコレもユニーク。他では見たことがないオンリーワンなモノがいっぱい。

海藻や貝のようなフォルム。海の生命力を感じるアクセサリー。
気分はトレジャーハンター。たくさん発見があり〼

特に鉄や真鍮など金属を使ったアクセサリーのシルエットは、無機質なのに生命感があるような主張のあるデザインでイカしています。
これらの商品は日本各地のアーティストが作った作品たち。
店主の高木さんが作品を自分の眼で確認し、場合によっては作家の工房を訪ねるなど、作家との信頼関係を構築した上で置かれている商品ばかりということです。

かわいい魚の置物。表情がナイス。

高木さんの好みもあって、お店にはあまり可愛らしくなりすぎないもの。可愛くても少しクセがあるものがチョイスしているそうです。
それもあってか、来店されるお客さんは男女比半分づつくらい。
確かにオシャレすぎる雑貨屋さんだと僕のような中年男性は脇汗がビッショリになるくらいにド緊張してしまいますが、こちらのお店はゆっくりリラックスすることができます。

トボけた表情がかわいい。マンモスの張子は浜松市で発見された化石のナウマンゾウがモチーフのようです

フと視線が合ったこのトボけた張り子(はりこ)。
凧はりこという名前をつけて、試作の真っ最中なんですって。
浜松まつりで初子の凧を作った時、お祭りが終わってしまうと凧の処分に困っちゃう人って多いみたい。飾るにしてもデカいし、捨てるのはもったいない。額装しても切り取ってしまうので他の紙がもったいない。
そんな凧の和紙を余すことなくつかって、記念の品を作りましょう…というのがこちらの凧はりこ
静岡文化芸術大学出身のプロダクトデザイナーの野村梨奈さんと共同で作られていて、包装紙には浜松まつりの記事が掲載された新聞を使用する予定だそうです。

初凧で祝われて。
子供の頃にはオモチャになり、
大人になったら思い出に変わっていき、
親になったら自分の子世代に語り継いでいける。

トボけた顔してババンバンっ!! 長い間ずっと楽しめる何ともステキな作品じゃないですか〜!!

実は…。
それ以外にもコッソリ試作品のお話を聞いちゃいました。
zattaだけの内緒だよ…。

1334+では、オリジナルでお城に関連したインセンスホルダー(お香立て)を作っている最中だそうですよ〜。

どうっ!? なんかスゴク良さげなかんじっ!!
浜松城関係のお土産ってダサ… あっ…(時を戻そう…)
浜松城に来たときのお土産に最適じゃないですか〜!!

こちらはまだサンプルがなく、もうすぐ試作品があがってくるとのこと。
お店に置かれるときをお楽しみに〜!!

浜松城公園の敷地には当時こんなに大きなプールも。
フジヤマのトビウオこと、雄踏町出身の古橋廣之進さんの影響で、浜松市は水泳に力を入れてたと思われます。

お店のお話をしているうちに、会話はコロコロ転がっていき浜松の文化の話へ。

「浜松って文化がないから〜」
な〜んて話を聞くことってありませんか? いやいや実はそんなことはマヤカシです。
浜松には昔から脈々と受け継がれていた文化があり、それは今の生活環境にも影響を与えています。
昔は砦(山城)があった場所に学校や役所が建っていたり、昔は川が流れていた場所が地形や地名として残っていたり、昔から今まで脈々と時間が流れています。

さりげなくディスプレイされた木枠には、深い歴史がありました。

例えば店内の壁にディスプレイとして配置された木枠。
この木枠は昔に五社神社の向かいにかつてあった中島銃砲火薬店の家の窓枠なんですって。
中島銃砲火薬店を開業したのは、幕末に活躍した新撰組の隊士、中島登(なかじまのぼり)さん。
彼が残した文献が、今の新撰組を紐解く重要な資料として未だに使われているそうです。

新撰組と言えば、映画や時代劇の世界…と思いきや。
こんな身近なところに文化があって、それが受け継がれているということに鳥肌がゾワワっとしました。


1334+では、定期的なワークショップも開催しているそうです。
作家を招いたワークショップもあるので、作品の世界に浸りながら世界に一つだけの自分のモノを作るなんてステキではありますか。

写真は鍛金ワークショップで作成されたシェラ風カップ。
黙々と銅をたたき形を作っていく…。
…自分に向き合いながら、金属を叩く音以外には無音の世界…そんな景色を想像しました。
これに参加すれば、僕の中にある1080もの煩悩が少しは無くなるかも…。
(人より10倍ほど煩悩が多いので…はい…。)

また、5月22日には鴨江アートセンターの企画で雑貨の雑談というトークイベントも。
参加希望者はお気に入りの雑貨を1人1つ持ち寄って、ワイワイガヤガヤとモノの魅力について話をするそうです。
興味のある方どうでしょうか。


1334+
静岡県浜松市中区松城町107-15

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思いつきの寄り道は、思いがけない話との出会いがありました。
これだから街ブラはやめらんないっ!!
長居したのでそろそろお邪魔させていただきます。

暗めの照明の店舗を出ると、木漏れ日の明るさに驚きます。
朝日によって灰になるDIOの気分ですねっ(って何のこっちゃ)

万歩計を覗いてみると938歩。1000歩届かず…っ!! この運動量じゃまだまだオデブチン。
妻に、ラ○ザップへ強制収容させられてしまいます。
それでは、このまま鹿谷町の方に歩いて行ってみましょう。


第2話、浜松城公園一周の旅(鹿谷町編)へ。 つづく